キーウェストの旅Key West trip

カジュアルの起源

2017/09/18
カジュアルの起源
  [19世紀の王室から始まった、カジュアルのルーツ] 「第1話」

カジュアルのルーツは、従来のドレスコードを破ることからはじまった。そこには自由な精神、遊び心、そして周囲を瞠目させる 斬新さが無ければならない。英国紳士のスポーツ・スタイルが、アメリカンエリートたちを追従させ、アイビーファッションのお手本になった。
しかしカジュアルとはたんにラフにあるのではない。その背後には、一流の服を所持し、幼少時からのニルアドミラル(平静を保つ)な態度が欠かせない。ドレスアップして出世欲に小心翼翼としている人間を、笑って見下ろすところに、カジュアルの味があるのだ。流行は『上から下』と『下から上』の2つの流れから生まれる。

ファッションの流行には「上から下へ」と「下から上へ」のルールがある。たとえば、英国の皇族や貴族たちは、自分の体型とサイズにそっくり同じ執事(バトラー)を雇っておいて、新調の衣服や靴を着用させ、適当な程度にくたびれたところを召し上げて着ることにしていた。仕立て下ろしの服など成り上がり者の趣味で、着られられたものではないと、彼らは、信じていた。
そういう執事たちは、主人の着古した衣服をもらって、自分たちの生活に使っていた。それが庶民の間にも広まって日常生活に定着する。これが「上から下へ」のルールのわけだ。

反対に上流階級の人たちは、労働者や農民の風俗を取り入れてお洒落の材料にする。
あの王冠を賭けた恋のウィンザー公はあるとき、セントアンドリュウースのゴルフ場に、フェア・アィル諸島の漁民たちの来ていたセーターを着て周囲の人たちを驚かせた。これが波及して、フェア・アィルのセーターは、紳士のスポーツウエアーの定番になってきた。また、アイルランドの西の小さな島アラン等の漁民たちが防寒用に着ていた厚手のセーターは、模様も含めて紳士たちのお洒落に定着している。「下から上へ」の流行だ。
                        続く…

板坂元(いたさか げん)元創価短期大学教授 東京大学文学部国文科卒 専攻は、江戸文学 英国・ケンブリッチ大学・米国ハーバード大学で27年間日本文学を講ずる。85年帰国後教授 著書多数あり
先生の文献より参考にさせて頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

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エドワード7世とウィンザー公父子はともにトレンドセッター (イラスト:斉藤融氏)

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